2018年08月18日

7月6日 東京民藝協会例会 村上豊隆「民藝入門」

7月の例会は、日本民藝協会の村上豊隆さんを講師に迎え、講座「民藝入門」を行いました。
会場はいつものておりやではなく、駒場のべにや民芸店。参加者は15人ほどでした。
個人的には、村上さんの「民藝入門」を聞かせてもらうのは2回目となります。数年前の松本民芸館主催の講演に参加したときは、松本民芸館の所蔵品や地元の工芸品を例に、地域性などについてわかりやすく話されていたのが印象的でした。

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このほど村上さんが編集している雑誌『民藝』にて「小絵馬」を特集(2018年5月号)したこともあり、今回は絵馬から民藝の美しさの基本的な性質を検討していきたいとのこと。小絵馬から読み解く「民藝」。期待が高まります。

無病息災などの願いが込められた絵馬には、絵師により描かれた「大絵馬」と、庶民によって描かれた「小絵馬」に分類されます。
柳宗悦は、東北地方でみられる南部小絵馬を「名も無い職人画工の筆から生まれ」「全く工芸的な性格をもつ民画であった」と高く評価し、数多くの絵馬を蒐集し、日本民藝館に所蔵されています。また、小絵馬の蒐集家だった芹沢_介の自宅を柳が訪問したことで両者の交流が始まったことは良く知られています。
このような基本情報のほか、日本民藝館所蔵の南部小絵馬の分布、特徴などが解説され、村上さんが『民藝』の取材で訪れた、練馬の縁切神社でのエピソード等をお話いただきました。

興味深かったのは、『民藝』5月号のスペースの都合上掲載できなかったという、東北の「失せ物絵馬」というもの。
この絵馬には、なぜか金槌や包丁といった金物の絵が描かれているのだそうです。
漁師にとって、金物を海に落とすのは縁起が悪く、不漁になるとの言い伝えがあるため、それぞれ落とした金物の絵を描き、神社に奉納するのだとか。
そこに描かれている絵は奇妙でコミカルなのですが、思いと願いが強く感じられました。
私たちにとって、身近で馴染みのある絵馬の話はわかりやすく、「民藝入門」には格好の題材だったといえます。

ところで、日本民藝館には小絵馬だけではなく、大絵馬も所蔵されているそうです。村上さんは、柳は決して民間宗教の象徴である「小絵馬」のみを賞賛したわけではなく、「大絵馬」も同じように美しいものとして評価していると語り、最後に、5月に日本民藝館でおこなわれた柚木沙弥郎さんの講演で発せられた言葉(『民藝』7月号に掲載)を朗読し、お話を締めくくられました。

村上さんによる「民藝入門」は、今後も恒例例会として、いろいろな切り口でお話していただきたいと思いました。どうもありがとうございました。
(奥村)
posted by 東京民藝協会 at 18:27| Comment(0) | 例会