2019年01月25日

「人間機械」という映画

 「人間機械」-----題名を聞いただけではどういう意味かわからない。しかし映画を見たら恐ろしいまでにピッタリの題名だと変な感心をする。原題は「MACHINES」だそうだ。インドの織物工場の中を撮影したドキュメンタリー映画で、人間が機械に組み込まれて過酷な労働をさせられている。ここでは機械と人間は混然一体で、だから人間機械だ。
 不衛生な暗い工場と機械の轟音、汚れたランニングシャツとゴムゾーリやはだしの労働者、過重な労働、もしわれわれが現実に目撃したら正視し続けることができないのではないか。監督は、撮影後難聴になったというから凄まじい。しかしこの現実が映像化されると、美しいと言えば美しい映像と律動的で迫力満点の音響の映画になる。-----現実を覆い隠しているわけではないが

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 少し前には「苦い銭」、もう少し前には「女工哀歌」、いずれも中国の縫製工場に取材した映画もある。そこでは出稼ぎ労働者が、やはり働きづめに働いている。田舎に残されるのは老人と子供で、中国の大きな社会問題になっている。残された幼い三姉妹の生活を追った「三姉妹〜雲南の子」という胸打つ映画があった。

 これらの映画に映された労働が生み出したものは、最後に先行国の人間に消費される。われわれはインドの綿布は安くて良いとか、このジーンズえらく安いとか言って喜んでいるわけだ。ここには持ちつ持たれつとばかり言いえない不平等の関係がある。
 -----だからどうだという続きが肝心なのだが、お定まり以上のことは書けないので、とりあえずご紹介のみ。
(藤田)

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2019年01月14日

手元の郷土玩具(21) 金沢の福徳

 この年末年始は、東京の実家と合流して、金沢に行ってきた。
金沢には「中島めんや」という郷土玩具の老舗があって、今もさまざまな愛らしい玩具を作っているのだけど、今回はちょっと別のお話をしたい。

 金沢では年末から年始にかけて、砂金袋・福俵・打出小槌などの形をした最中の皮の中に、縁起物の形をした砂糖菓子の金華糖や小さな人形を入れた「福徳」という菓子が売られる。
 この菓子は江戸時代の文化6(1809)年、十二代加賀藩主前田斉広(なりなが)公が金沢城二の丸御殿が新造された折、その祝賀用に創案された菓子である(「諸江屋」HPより)。正月の祝い菓子として売られ、中から何が出てくるのかが楽しみで、金沢の人から愛されてきた。
 明治41年に金沢で生まれて以来、ずっと金沢で教員として暮らされた村尾泰氏の著書『金沢の玩具』(昭和45年、北国出版社刊)によれば、福徳は「フットク」と呼ばれ、村尾氏が幼い頃は、金華糖と練物の人形が中に入っていたという。

 金沢ではかつて、桐のおがくずや小麦のふすまを、生麩糊(しょうぶのり)で固めた練物玩具が作られていた。軽くて丈夫だったため、福徳に入れる人形には最適だったのであろう。ただし、昔の練物玩具の宿命で、福徳の人形も時間が経つと、中を虫が食って、形は残っていても、指でつまもうとするとぴしゃんと潰れてしまったそうである。

 戦後になって、福徳の中の人形は、練物玩具から、富山製の土人形に変わった。
  富山では、福徳人形だけで売られていて、私の手元にも、富山土人形の最後の作者・渡辺信秀さんの福徳人形がある。
いずれも1cmほどのごく小さなもので、宝珠・福良雀・だるま・宝船など、縁起の良い人形が数多く作られていた。


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渡辺信秀作 福徳人形

 現在では、落雁菓子で著名な金沢の老舗菓子店「諸江屋」だけが、年末年始に福徳を販売している。
中に入っている土人形は、渡辺信秀さんの晩年に富山市の肝いりで結成された「とやま土人形伝承会」が作る土人形が入っている。
 ※富山土人形を継承した団体にもうひとつ、「土雛窯」があり、こちらでも福徳人形は製作されているようである。

 ・諸江屋のホームページ
 http://moroeya.co.jp/archives/76
 ・富山土人形に関するホームページ
 http://kyoudogangu.xii.jp/tqyama.htm


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現在の福徳。割れた福徳の中に見えるのは、金華糖の恵比寿様

 駅ビルの「諸江屋」の売店で買い求めた福徳を、家族で分け合い、カラカラと振って中に何が入っているかを想像しつつ、皮を割って中を取り出した。
 金華糖ならそのままお菓子として食べられるし、土人形ならいいお土産になる。
こうした、誰もが楽しめるお正月の縁起菓子に、今も続く金沢の優雅な風情が感じられ、年始から心が温かくなった。
(千葉孝嗣)

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2019年01月08日

次回2019年1月の例会

○東京民藝協会2019年1月例会
日本民藝館「柳宗悦の直観」展見学

日 時 2019年1月26日(土) 11時30分〜12時ころ
場 所 日本民藝館 2階階段室
解 説 月森俊文氏(日本民藝館)
参加費 500円 (会員以外は1000円)
定 員 20人位(会員優先/先着順)
参加申込 下記のメールに1月25日(金)まで
tokyomingeikyokai@gmail.com

月森さんから「キャプションを含め説明は一切しない展覧会です。通常のご説明はできないかもしれません。ご覧いただいた後に少しお話をさせていただきます」というご返事をいただきました。当日は、事前にご覧になってから集合して下さいますようお願いします。
*展示期間:1月11日(金)〜3月24日(日)
posted by 東京民藝協会 at 11:07| Comment(0) | 例会