2020年11月27日

岡田さんのこと

 佐藤さんの文を拝読して、その中に岡田さんの書とその展示会に触れたところがあるので、それに関連したことを紹介します。「東京民藝たより」の平成14(2002)年6月、第51号に、その記事を載せました。その記事は私が岡田さんにお聞きしたことを書いたもので、以下はその一部です。
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 備後屋民藝店を訪れるひとは、品名ほかいろいろの表示が、白い紙片に墨書されているのを見るだろう。それらは店主の岡田さんがお書きになったもので、いつだったかそれについてお聞きしたことがあった。おっしゃるには「自分は正式に書を習ったことはないが、必要だったので、恥さらしをしている」というお話であった。
小生のようなものが申し上げるのは憚られるのであるが、その清潔で勁い字の姿はいかにも民芸店にふさわしく、また筆の字の美しさというものを感じさせて下さるものである。小生のほかにも岡田さんの書に関心を寄せるひとは少なからずおられて、その方々が自然に、こういうものを書いてくれないか、とういう注文を寄せられるようになった。さらにそれらの求めに応じてお書きになったいろいろな文字をご覧になって、自分のところで展覧会をしないかという方まであらわれたのである。 (中略)

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 「とうふ」と「豆腐」の文字である。この書としては一風変わった文字は、映画評論家の白井芳夫氏の依頼から生まれたそうで、そもそもは、小津安二郎が-----自分の作る映画は豆腐みたいなものだ、というようなことを言ったことに因っているそうである。白井氏はこのひらがな三文字の書に、藍染の表装をして所蔵なさっているという。 (中略)
 岡田さんの書は、美を狙ったものでなく必要から生まれたものである。岡田さんの書も豆腐みたいなものなのだろうと思った。
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 で、「豆腐」「とうふ」の書を転載させていただきます。
 佐藤さんも触れておられる通り、当協会の封筒の協会名ロゴは岡田さんにかいていただいたものです。全国大会の時に、大会冊子の表紙の題字にとお願いしたもので、それを転用しました。いい封筒になったと思います。
岡田さんは物静かな方でした。話し声もひくくて、顔を寄せるようにしてお聞きしたことを思い出します。晩年になってからにぎやかな性格になったとは、娘さん楠本さんのお話です。いつも素敵なお召し物でした。ジャケットやシャツ、いつもいいなあと思って拝見していました。略歴を拝見すると、学徒動員も経験なさっているそうです。また民藝店を創業して東京を代表するお店になさいました。ご縁に感謝しています。
(藤田)

 
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2020年11月22日

11月例会

 11月15日、日曜日の午後、久々に例会を行った。2月に同じ会場で、石井勝恵さんのお話を聞いて以来である。できれば週末の夜、ダメなら土曜日にしたかったが、会場は目下のコロナ騒ぎで夜間使用は中止、しかも利用者数は部屋の定員の半分までという事で2部屋続きを借りなくてはならない。土曜日はふさがっていて、日曜の昼になってしまった。奥村さんが何度も手続きをして下さった。
 ちょうど民藝館でやっている「アイヌ展」に合わせて、歴史民俗博物館から「マンローのフィルムから見えてくるもの」というDVDを借りて上映した。マンローというスコットランド人が半世紀以上前のアイヌの映像を残している。それがイギリスのナントカいう機関や、歴博、北海道大学などに残されており、それらフィルムの来歴を探って前後関係などを明らかにしようとしたものである。追跡の過程をわざわざ映像にした意義がよくわからない、文章で足りるのではないか、というのが正直な感想である。しかし、アイヌ人をはじめとする関係者の話を聞いて回ることで、結果としてマンローの事績、アイヌが置かれた現状、少数民族を見る視点の問題等々が浮かび上がってくる。
 ついでに、アイヌ遺骨の返還を取り上げたニュース映像をユーチューブから借用、上映した。

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 その後、戸田ヒロコさんから頂いた書籍、図録などを参加者にもらっていただいた。立派な本が多くて、参加者は大いに満足、感謝であった。戸田さんありがとうございました。
 書き忘れたが、参加者は14人、新人が5人も来て下さった。この方々のためにも、来年こそ例会を続けたいと思った。来月12月は、べにや民芸店さんで例会兼忘年会をと計画中だが、このところコロナ病の感染者数が増えており先が心配である。

アイヌ関係の映画の紹介、「カムイチェプ サケ漁と先住権」12月7日(月)12:00〜、新宿 K‘sシネマで。一回のみの上映らしい。例会で、日本国はアイヌを先住民族であると認めたものの先住権は認めていないと申し上げたが、先住権には当然鮭の漁業権も含まれている。
(藤田)


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2020年11月13日

岡田弘さんへ送る言葉

 此の七月十二日、備後屋民芸店社長・東京民藝協会会員 岡田弘氏が逝去された。私が協会に参加するより遥か前からの先輩会員で、実はよく慣れ親しんだ方でもないので、長い間の親交の思い出は語れないのです。
 ただ私が物造りとして、作品を仕入れて販売してもらったり、私自身が備後屋さんの品々を見るのが楽しかったりの関係でお付き合いさせて戴いたのでした。ただ 何時も買い物をするわけでも無い私を二階の囲炉裏の在る座席に誘い、機嫌よくお茶をいつも振る舞って下さったのを懐かしく思い出します。私の一方的な雑談を、ニコニコ楽しそうに聞いて下さり、昭和二年生まれの実姉のように、穏やかな表情でおられたのを忘れません。私は幼少の頃から書が好きで稽古してたので、共通点があったようで、彼の揮毫による「東京民藝協会たより」の表題文字は皆さん既知の文字です。
 平成十四年宇都宮・光徳寺にて氏の「私の書」展が行われ、プロの書家ではない方が寺を借りて開催するのは稀な事でしょうから、是非と鑑賞に参りました。その時私の姿を見るや転がるように迎えてくれ手を執って放さず、視たら涙を見せていました。ずーと説明して呉れ、痛いばかりに握手し別れたのを忘れられません。
 穏やかなこころの持ち主ではありましたが、実はあの字体は、不動の意力賜物だと感じています。恐らく頑固な一面があったに違いありません。
 その彼が最後の新年会二〇一七年二月四日銀座維新号での新年会の折、「あこがれのハワイ航路」を進んで余興に独唱されたのは、忘れられない思い出でした。
 商売が決してうまいとは言えないお人柄でしたが、穏やかな楽しさを感じさせてくれて感謝です。またいつかお会いしたいと思います。
令和二年十月十日
佐藤阡朗

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2020年11月10日

相模原市で尾久彰三さんの展覧会

相模原市の「小原の里」で、元日本民藝館の学芸員、尾久彰三氏の所蔵品の展示が行われています。今回は「護符と仏画」だそうです。入場料無料

〇11月5日(金)〜12月の末ころ  月曜日休館
午前9時30分から午後4時30分まで
〇小原の里 相模原市緑区小原711-2 電話1(プッシュホン)042-684-5858

・JR相模湖駅より徒歩20分
・JR相模湖駅前2番バス停にて桂橋経由三ヶ木行きバスに乗車、小原バス停下車徒歩2分
・中央自動車道八王子方面より相模湖東出口(下り専用)


*NHKの放送「美の壺 白磁」にも出演なさったそうです。
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2020年11月06日

15日の例会と映画「アイヌモシリ」

 11月15日に半年ぶりで例会をやります。いま民藝館で「アイヌの美しい手仕事展」をやっているので、それに関係したものをということで、佐倉の歴史民俗博物館から「「モンローのフィルムから見えてくるもの」という難しそうなビデオを借りて、一部を上映します。アイヌ関係の映像は、ユーチューブをちょっと見ると(財)アイヌ民族文化財団ほかが多くの記録映像を載せていて、その多さに驚きます。
 
 さて、アイヌの工芸を見るとき、それを生んだアイヌ民族と日本民族との関係を考えない訳にはいかないでしょう。関係の書籍を少し覗いてみるだけで、日本人がアイヌ人に対していかにひどいことをやってきたかということを知らされます。-----私の場合、それを知るきっかけは、ずっと昔萱野茂の「アイヌの碑」を読んだことでしたが。今更取り返しのつくことではないのですが、そういう歴史を振り返ることも必要ではないかと思います。かつて柳宗悦が台湾の布についていったこと----布の美しさを言う人は多いが、それを生んだ人のことを思わない人が多い、というようなことも考えてみるべきかなと、私が言うのもおこがましいのですが思います。

 最近北海道白老に開館した「ウポポイ 民族共生象徴空間」の命名が示すように、日本国はアイヌ民族を先住民族であるという事をやっと認めるようになりました(2008年)。そのこと自体は結構なことですが、アイヌに対する迫害の歴史についての深刻な反省があっての施設なのかどうかは疑問です。ウポポイも、国外やアイヌに対するアリバイつくりという感がないではありません。日本国はアイヌの土地を奪っておいてそれを返還もせずたいして謝りもせず、アイヌを展示する施設を作って、これでチャラねと言っている、ととれないこともない。アイヌ側から見れば、先住民に認定されて良かったとか、立派な施設ができたから良かった、とかいうだけで済まない問題が続いています。しかし受け入れざるを得ないことでもある。

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 映画「アイヌモシリ」は、アイヌコタンに住む少年が主人公です。彼は自分にまとわりつくアイヌであるということから派生するいろいろが嫌で、ここ以外のところに行きたいと思っている。一方、観光のためでなくてアイヌの魂の確認のため(こういう言い方でいいか疑問だが)長い間行われていない「イヨマンテ」をやりたいという老人がいる。この両者の交流を主題にして、アイヌ民族が置かれた状況、その複雑な感情を描いています。         
(藤田)

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2020年11月05日

次回の例会

○東京民藝協会2020年11月例会
*DVD上映、本配布、話し合いなど*

日 時 2020年11月15日(日)14時〜17時
場 所 駒場住区センター 第1、第2会議室
目黒区駒場1-22-4 TEL03-3469-2613
参加費 500円
定員  20人(申込先着順、今回は会員限定になります)
参加申込 下記のメールに11月13日(金)まで
tokyomingeikyokai@gmail.com

久しぶりの例会です。
会場の都合で、参加者数が限られています。
やること
1、DVD上映 民藝館の展示にちなんで、「モンローのフィルムから見えてくるもの」(歴博の民俗研究映像)というアイヌ関連のDVD、その他民映研の映像などの紹介
2、元会員、装丁家の戸田ヒロコさんから寄付された本の配布。
3、協会の現状や活動について報告、話し合いなど
新入会員の方々、どうぞご遠慮なくご参加下さい。

*会場は「駒場住区センター」になります。
地図→駒場住区センター地図新.pdf
○井の頭線「駒場東大前」駅 東口下車 徒歩8分
○バス停「松見坂上」下車 徒歩3分
(渋谷駅西口ターミナル 東急バス36のりば 渋谷51若林折り返所・淡島行)等


posted by 東京民藝協会 at 11:53| Comment(0) | 例会

2020年11月02日

美味しさのお裾分け@「からみ餅  甘味 おかめ有楽町店にて」

 都内各所で発見した「美味しいもの」を記憶に留めるべく、筆を執ります。皆様の蓄積する「美味しいもの」リストに是非照合下さいませ。
 機関誌「民藝」の広告の一つに鎮座まします「甘味 おかめ」。どんな美味しいものがあるのかしらん?ワクワクしながら毎号見てました。10月某日仕事帰りについにチャンスが!いざ突入!店内はビル群の中の一つのオアシスのようなもの。小ぶりながら中に入るだけでもホッと一息。本漆喰の壁に松本民芸家具が奏でる椅子の居心地の良さ…。その素晴らしさと居心地の良さはご自身の目でとくとご覧下さい。
 今回は「からみ餅」をいただきました。「からみ(辛味)餅」とは「つきたての餅に大根おろし・醤油などをつけたもの」(デジタル大辞泉、小学館より)。
 ここで出た「からみ餅」は2個のお餅に大根おろし、青のりがのったシンプルな品。お醤油は好みの分量で。口触りが良く、するするとお腹に入りました。それもそのはず。この「からみ餅」の大黒柱その1は大根おろし。辛味がなく、かなり細かくおろされているからです。そのお蔭でふんわりした食感に。お醤油もよく絡みます。大黒柱その2のお餅自身も柔らかさにムラがなく、一度噛めばのびるや、のびる。青のりの色彩の美しさで食欲が更に進みます。これは、四味一体の美味しさ。 これは「辛味餅」ならぬ、「絡み餅」といった方が正しいような…。どちらでも取れるようにメニュー表では「からみ餅」なのかしら?一つの謎は残りました。

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 この「からみ餅」は一見シンプルながら手間がかかる品でしょう。大根おろしのおろし方に作った人の心遣いを感じました。生活用品が主に「民藝」と言われますが、こうしてひと手間入った食べ物もまた民藝に相通じるところがあるように思います。
 「美味しいもの」と民藝。その相通じるものとは具体的に何か?この稿で一歩踏み出せました。続きは追々にしましょう。
 一つの口福な時間、御馳走様でした。
<了> 会員 鈴木 華子記ス

posted by 東京民藝協会 at 17:24| Comment(1) | その他