2022年11月26日

11月オンライン例会 「河井寛次郎の声を聞く」

11月11日(金)の夜、オンライン例会を行った。参加者は少なくて12人だった。
去年、故白崎俊次氏の写真などをご遺族から譲渡していただいたことはすでにお知らせしたが、その中に録音テープがあった。オープンリールだったのでCDに移してもらった。聞いてみたら、河井寛次郎のインタビューらしい。色めき立ったのだが、実はこれの文字起こしをしたものが『民藝手帖』に掲載されたことが分かった。さらに『炉辺歓語』という単行本になって、昭和53年(1978)に発行されている。発行所は東峰書房という出版社で、社長の三ツ木幹人氏が東京民藝協会の会員であった。(池田三四郎氏ほか民藝関係の方々の本を発行しており、河井の『六十年前の今』『いのちの窓』『仕事(拓本復刻)』もそうである。)
 そのあたりのいきさつが『炉辺歓語』の折り込みに書かれている。筆者は岡村吉右衛門氏で、インタビューの聞き手も同氏らしい。柳の死後、河井、濱田はじめいろいろな人にインタビューするつもりで、その最初が河井であった。昭和37年(1963)に録音をしたのだが、それは予定していた全3回のうちの最初の1回であった。河井が逝去して後の2回を実施できないまま宙に浮いてしまっていたという。
〈そうこうするうち、河井記念館の落成記念として、白崎俊次君が民芸手帖に録音を活字にして載せたいという申し出があり、-------編輯を先生と親交が特別であった村岡氏がやって下さるならという条件付きで録音を白崎君に渡し、それが民芸手帖の連載になった次第である。〉と岡村が書いている。つまり白崎氏旧蔵のテープは、そのテープである可能性が高い。
 ------と、長々書いたのだが、例会ではこの録音の一部を聞いていただいた。録音は全部で5、6時間あると思われるが、そのうち目下民藝館で開催中の特別展「柳宗悦と朝鮮の工芸─陶磁器の美に導かれて」にちなんだ朝鮮関係の部分1時間ほどだった。河井寛次郎がどんな方であったか、なんとなく想像される音声であった。かなり以前のことであっても、昨日のことのように新鮮な感動を飾ることなく語っておられる。
 
追加の情報のようなものを以下に紹介します。
1、『炉辺歓語』は古本で入手可能です。定価2000円より安い。
2、河井の弟子 森山窯・森山雅夫氏の談話が『民藝』839号(11月号)に載っています。これは、大阪民芸館で行われたインタビューの記録です。
3、当協会の新入会員(法人会員)で株式会社ワールド・コラボ・ジャパン・諏訪郁緒里さんという方が、会社のホームページに、河井寛次郎記念館の学芸員でお孫さんの鷺珠江さん、森山雅夫氏、多々納真氏のインタビュー記事を載せています。
■河井寛次郎記念館 学芸員 鷺 珠江氏
(前編)https://creative-collabo.com/interview/kanjiro/
(後編)https://creative-collabo.com/interview/kanjiro/2.html
■森山窯 森山 雅夫氏 https://creative-collabo.com/interview/moriyamagama/
■出西窯 多々納 真氏
(前編) https://creative-collabo.com/interview/shussaigama/
(藤田)

                                        
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posted by 東京民藝協会 at 18:46| Comment(0) | その他