2018年03月01日

手元の郷土玩具(18) 新山真由美さんのお雛様

 この春、永年活動を共にしてきた広島協会の友人が、転勤で広島を離れることになった。
 送別会じゃ寂しいから「壮行会」をしようと、仲間うちで集まったら、お餞別の品を渡す前に、離れる当人の方から私たちにプレゼントをいただいてしまった。嬉しいやら申し訳ないやら。
 そういう心配りが自然で、周囲への思いを行動に移して、皆を楽しませてくれる方なだけに、共に楽しみ、語り合う機会が減ってしまうのが残念でならない。
 その方からいただいたのは、宮城・弥次郎こけしの工人・新山真由美さん作のお雛様である。


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新山真由美さんのお雛様

 3年ほど前の年末、広島市内のデパートで開催された宮城県の物産展に、新山吉紀・真由美ご夫妻が実演販売に来られた。このご夫妻の作るこけしは、当時の僕にとって憧れの作品だったので、物産展が始まった日の夕方、早速顔を出してみた。
 人見知りで、ちょっと離れたところから吉紀さんの轆轤挽きを見ていたら、「こけしが好きなの?」と声をかけてくださった。そこから話がはずみ、広島協会の仲間数人で、ご夫妻を瀬戸内の幸と酒を出す居酒屋にお招きし、楽しい時間を過ごした。

 弥次郎系の工人さんの中でも、ご夫妻の活躍は目を見張るものがある。
 当時憧れていた吉紀さんのこけしに、かつて飯坂温泉で轆轤を挽いていた佐藤栄治・喜一親子の写しがあった。強烈な個性を放つ作品だが、吉紀さんが作られる喜一型は静かな気品があって、決して猥雑にならないところがいい。もう少し古風な趣きのある父・栄治の写しや、喜一にしては珍しい静かな表情のものなど、吉紀さんに教えていただきながら得たこけしたちは、今もこの机の上に佇んでいる。


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新山吉紀作 左 栄治写し、中央と右 喜一写し

 気風のいいお母さんといった感じの真由美さんの作るこけしやえじこたちは、どれも優しい表情をしている。あっという間に作られる独楽や、売り場にはなかった「やみよ」など、いろいろなものを挽いてくださる新山さんのコーナーに毎日のように通っては、広島ではなかなか見ることのできない、東北のこけし工人の技を堪能した。

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真由美さんのこけしとえじこ、手前にあるのが「やみよ」

 今回プレゼントされたお雛様は、あれからいただくようになった新山さんの年賀状の、今春の図柄であった。友人が電話をしたところ真由美さんが出られて、知人への贈り物にしたいのでと話したら、喜んで引き受けてくださったという。
 お雛様の柄には、梅・桜・藤の3種類があって、皆で分け合った。雛祭りに一番近い時期の花なら梅、旧暦なら桜になるのだろうか。ただ、その清々しさに惹かれて、僕は藤の模様を選んだ。

 普段から木を相手に仕事をされている吉紀さんは、一度、宮島・厳島神社の大鳥居に直接触れてみたいと言われていた。
 それが実現する日が来たら、その友人と一緒に、新山ご夫妻を宮島へ案内することができればいいなと、ひそかに思っている。
(千葉孝嗣)

posted by 東京民藝協会 at 10:36| Comment(3) | その他
この記事へのコメント
私はこけしの良さがずっとわかりませんでした。
数年前、たくみの暮れの市で小さいのを数本買ってから、なんとなくいいものではないかと感じました。どうしてこんな単純なものに人は惹かれるのかと不思議にも思いつつ。
集めだしたら切りがなさそうなので、近づかないようにしていますが、それでも20本くらいはあるかもしれません。
並べたいのですが、すぐ倒れてしまうので、横になっています。どうやって立てておくのですか。両面テープでもいいでしょうか?
Posted by 藤田 at 2018年03月04日 23:38
僕も、こけしに対しては未だ初心者です。
何人かの工人さんの作品に好きな作風があって、それを中心に、ゆっくりと増やしています。

数はないけど、いい表情だなぁと思えるこけしに囲まれているのは、それはそれで気持ちが和らぎます。

確かに倒れやすいですが、僕の場合は、とりあえず、あまり手の触れそうにない場所に置いています。
こけしの底には工人さんの署名が書かれていますから、両面テープはやめた方がいいように思いますけど。
Posted by ちば at 2018年03月07日 21:59
そうですね、そうですよね。
名前が入っていますから、両面テープはないですね。
細長いアクリル板に穴を空けてこけしを立てるのがいいのではと思っているのですが。
Posted by ふじた at 2018年03月08日 19:58
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