2018年05月03日

3月例会「民藝館見学」

 3月17日土曜日、石井頼子さんの解説付きで、民藝館の見学会を行った。特別展は「棟方志功と柳宗悦」である。実は今年の初め、棟方のお孫さんで東京協会の会員でもある石井さんから、見学会をやるならいくらでも協力するがというお話があった。そのときは、このところいろいろやっても参加者が少なくて、----新年会の参加者は20人だったし、それが心配でお断りした。しかし、何人でも構わないということで、図々しく改めてお願いしたものである。幸い、大島さんがあちこちに声をかけて下さったり、べにやの奥村さんが染色家の大木夏子さんに案内して下さったりで、なんと15人くらいが来てくださった。珍しいことである。
 この展示はテレビに何度も紹介されたそうで、連日多数の来場者があり、期間中に1万人は超えるのではないかという。1日に500人を超える来場者を受け入れることは大変だそうで、保坂事務長と杉山学芸部長が玄関でスリッパをそろえたりしていた。

 さて、石井さんは最初に、この展覧会は少し変わった展覧会であり、棟方の代表作といわれるもののあれこれが欠けていることにお気づきになるだろう、というようなことを言われた。なるほど釈迦十大弟子は1人か2人しかいなくて、「心偈」と書簡、書籍などにそれぞれ1室を当てて、広間は「東北今日鬼門譜板画柵」、「華厳譜」、「海山の柵」だけという大胆な会場構成であった。
 つまりこの展示は「棟方志功と柳宗悦」両者の交流を明らかにして、それが作品にどう現れたかという主題を展開したものである。ここで私は、数年前の石井さんの著書『言霊の人』(2015年11月、里文出版刊)を思い浮かべた。その本は、棟方と保田與重郎、谷崎潤一郎等々20人ばかりの文学者たちとの交流をたどったものであった。棟方は装丁をしたり挿絵を提供したり、歌や俳句を板画にしたわけだが、両者の交際と作品成立の過程を明らかにすることは容易ではない。当該作品や周辺の作品を読むことは当然のこととして、年譜を確かめ書簡をあたり、時には作品や出版物を購入して、志功のそれらと突き合わせる。そういう実証を積み重ねてなった本である。400字詰め原稿用紙450枚くらいの大冊であるが、その見かけ以上に時間と金がかかっていると感心したものであった。
 この展示でもおそらく石井さんは、同じようにいやそれ以上に事前の準備をなさったことだろう。そのうえで何をどういう順序でどう並べるか腐心したに違いない。つまりこのいくらか変わった展示には、石井さんの棟方と柳に対する理解が表現されているのであり、目と知識と学識があるひとなら展示をみてその意味を読みとることができるだろう。私はただ漠然と眺めるだけであるが、それでも、石井さんの解説によって文字通り目が開かれたところがあった。   
 実はわれわれ協会員以外の方々も一緒に拝聴したのだが、その方々が石井さんのお話に引き込まれて静まり返って耳を傾けていた。それほど内容が詰まったお話であった。

 さて最後に、書簡類がたくさん出ていて面白かったのでそこから一つ紹介。柳が棟方の病気見舞いに出した手紙で、こんなのがあった。
 「君が大病にでもなると吾々も気が気でない」と書いた後で、「気分の悪くないとき墨摺り2枚何卒お願ひ」とちゃっかり付け加えているのがあり、笑ってしまった。

 石井さんありがとうございました。
(藤田)

posted by 東京民藝協会 at 18:43| Comment(0) | 例会
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