2022年01月08日

出西窯の登り窯焼成のLIVE配信を拝見して

出西窯の登り窯の窯焚きをLIVE配信していただき、ありがとうございました。
使わなくなった登り窯の見学については、これまでに何回もありましたが、現役の登り窯の窯焚きの様子を、実況付きで見ることが出来るとは思ってもおらず、とても貴重な体験でした。
(長時間にわたり手持ちショットを見続けていたら、途中で“画像酔い”してしまいました(笑))

窯焚きの全体を通して見て、分かったことは、自分でも体験したことのある穴窯の原理と、ほぼ同じであるということでした。例えれば、穴窯を焚くことを何段にも分けて繰り返していき、上段にまで達することで窯全体を焚き上げる、ということでしょうか。

灯油窯やガス窯であれば1人でも焼成できますが、穴窯の焼成は三日三晩もぶっ通しで薪をくべる必要があり、数人の交代制でなければ取り組めませんでした。
登り窯では、窯の容量がとてつもなく大きくて焼成時間が長期化するので、組織的な体制を組めないと出来ないことだなあ、というのが実感です。

私は、灯油窯やガス窯の焼成温度については、一般的になった熱電対(パイロメーター)に加えて、ゼーゲルコーン3本を使って、本体の焼き加減や釉薬の溶け具合いの判断にしていましたし、ぐい呑み型の色見本(テストピース)を入れて置き、ゼーゲルコーンの傾き具合を見ながら、取り出して溶け具合や発色具合を確かめていました。

途中のゼーゲルコーンの話で、全学年児童の作品を焼いたときのことを思い出し、手元に取ってあるゼーゲルコーンを取り出しました。

tmk220108.jpeg

私が使っていたのは、写真に写っているゼーゲルコーンのSK7・SK8・SK9の3本でした。
奥の方のSK7(設定温度1,230℃)がへたり、真ん中のSK8(1,250℃)が傾いて先が、ちょうど着いた瞬間です。手前のSK9(1,280℃)は未だ傾き始めたばかりですので、窯の内部のこの位置の温度は釉薬が溶ける1,250℃前後であると判断する訳です。
しかし一般に、熱電対(パイロメーター)は瞬間的な温度を測定し、ゼーゲルコーンは蓄積された総熱量を測定すると言われます。そういう点では、色見本と同じようにゼーゲルコーンの方が信頼度が高いと言えそうです。
私はアナログ式の温度計を主に使っていましたが、そのころにはデジタル式温度計が出現し始め、1℃単位の温度の上がり下がりが把握でき、窯の中の“雰囲気”が中性から酸化へ向かっているのか、還元や強還元へ向かっているかが瞬時に判断できるので、買い替えたかったが買えなかった思い出があります。

その、毎回の焼成で出てくる溶けたゼーゲルコーンを、とても興味を持って熱心に見ていた子供(現在グラフィックデザイナー)に持ち帰らせたところ、後日、父親(建築設計者)が、ひと窯に一つの貴重なものを戴いたと、涙を流さんばかりに感激していたと伺ったことがあります。そこまで受け止めてくれるとは思ってもいなかったので、嬉しかったですね。

年に数回の貴重な登り窯の焼成の時間帯に、全てを惜しみなく公開していただいた出西窯の皆さんに、感謝いたします。

東京民藝協会会員 花巻人形工房 & 艸炎窯  菊池正樹
posted by 東京民藝協会 at 17:45| Comment(0) | 例会
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