
1時間ちょうどでブータン王国の概要と染織などの工芸を、映像を交えてお話いただいた。あとで受講者に聞いたら、話がとても上手で聞きやすかったし内容も面白かった、もっと聞きたいという感想が多かった。
ブータンといっても日本ではあまり馴染みがないだろう。わたしも「ブータン山の教室」と「ゲンボとタシの夢見るブータン」という映画を見たくらい、ネパールやチベットとの区別もつかない。久保さんのお話はわたしにとっては勿論だが、会員の皆さんにとっても初耳のことが多かったのではないだろか。
印象深かったことをひとつ、それは民族衣装のもつ意味である。ブータンでは公の場で、男がゴという、女はキラという民族衣装を着用することが義務付けられている。生徒の制服ももちろんこれである。この背景には多分ブータン王国がおかれた特殊な環境があるのだろう。ブータンの立国は地政学的になかなか難しい。そのうえ、民族と言語も多様だという。このような環境下、どうやって国民の一体感を形成するか、その対応策の一つが民族衣装の着用義務ということではないだろうか。衣装が寒暖の調整といった役割のほかに、文化的歴史的な象徴として機能していることに改めて気づかされた。-----そういえば昔、永六輔が天皇に和服を着てもらおうという主張をしていたっけ。
国民総幸福という考え方、王室やチベット仏教の存在も、国民意識の醸成、統合に寄与しているだろう。国民総幸福と聞いて、私のような気楽な外部の人間は感心したりしているのだが、話はそう単純ではない。大概の人は物質的により豊かな生活に憧れる。近年は若年層のオーストラリアへの出稼ぎが盛んで、国内の空洞化が問題になっているとか。そのオーストラリア出稼ぎの人々が、高額なゴやキラをどんどん注文してきて、一時衰退していた手織りが復活しているそうで、いやはや世の中は複雑である。
このオンライン例会には、45人が参加して下さってこれまでで最高の人数だった。久保さんのファンが半分くらいいたような感じであった。
久保さん、ありがとうございました。


なお、久保さんの活動は「ヤクランド」というホームページで拝見することができる。さらに、旅行報告やブータンのことを広く紹介する「ヤクランド通信」というパンフレットを月刊で発行、なんと最新号は123号である。その最新号の表紙の写真を載せさせていただいた。またさらにもう一つ上げた写真は「ブータンのカード織」という冊子の表紙である。これも久保さんが制作しておられる。以上の2冊とブータンその他の旅行について関心のある方は、上記ヤクランドを見て下さい。カード織のほうは私の手元に1冊あるので、欲しい人は言って下さい。1500円です。
11月2日(土)に、民藝館の見学会を行った。
特別展「芹沢_介の世界」の展示で、担当の古屋学芸員に忙しい中ご案内いただいた。今回の展示も観覧者が多くて、館の迷惑にならないか心配した(迷惑にはなっているだろうが)。観覧中、話に出たのは、どうして芹沢がこんなに人気があるのだろうということであった。参加者は25人。今回は希望者が多すぎて、締め切り日以後に申し込まれた方はお断りせざるを得なかった。
古屋さんありがとうございました。
(藤田)
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