2025年10月02日

東京民藝協会 4月例会の報告

4月19日(土)11時より日本民藝館にて「民藝 無作為の美 ー深澤直人が心を打たれたものたち」を見学。参加者:25名。

プロダクトデザイナーであり日本民藝館館長を務める深澤直人、氏と民藝に関する展示は日本民藝館「愛される民藝のかたち ー館長 深澤直人が選ぶ」(2015年)、21_21 DESIGN SIGHT「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」(2018年)に次いで3回目の展示だろうか。

民藝館の重い扉を開けると目に飛び込む階段脇の展示棚、一方は白いもの、もう一方には黒いものが並ぶ。2015年の展示でも同様の方法で陳列されたそう。非常に印象的である。
さて、今回の見学会は担当学芸員に代わって、深澤直人館長自ら解説いただく企画に恵まれた。以下はお話しされたことを私がメモしたもの。聞きもれや聞き違いもあるかもしれないが、ご容赦願いたい。

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・収蔵品の中から「やさしい形」だと感じたものを選んだ
・翌日放送予定のNHK「日曜美術館」では(こんな感じでと体を動かし)身振り手振りをつけて話した
・全ての美に自分=柳宗悦(以下柳と記す)の感覚、いわゆる「下手物」、完成していない
・佐藤阡朗先生との対談、徒弟制度について(雑誌「民藝」868〜869号に掲載)
・形に興味がある、常に形の評価をしている
・よい=状況との調和
・柳の思い:民藝館の中で見てほしい
・今回は直感で選んだ=やさしい形
・最近は「デザインは色や形のことだけでない」と言う人がいるが「デザインは色や形である」
・例えば漆のダレ、意図的でないことがいい
・矛盾は双方に正しい
・perfrct imperfection(完璧な不完全さ:不完全さの中に美しさを見出す考え方)
・芹沢_介は切れないナイフを使うことによって自分の手を他人の手に変えた
・展示したジーシガーミ(厨子甕:南西諸島独特の骨壺)は、何十点もある民藝館所蔵品のなかでも好きな2点を選んだ
・日本民藝館展はカゴの出展が多い
・なぜカゴに惹かれるのだろう
・朝鮮の柳のカゴについて、柳材:竹材と違う風合い
・ロエベのクラフト展での、革を用いて弁当箱(?)を作ってる韓国の作家とのやり取り
・カゴは素材の自然の弾力性を活かしている
・使うと(手脂によって)光沢が出る、その美しさ
・新品には新品のよさ
・触らない清浄の美、例えば神のみ触ることができるもの使いこんだ美
・(本展のチラシに採用した)白薩摩角鉢、よく見ると柔らかいライン、色もベージュ
・中国に多い高台がないもの
・作る過程でわかること、作り手のみがわかること
・中国の土瓶、ハンドルの向き、自分向け、変な形→愛嬌がある
・使い勝手
・ハンドルの大きさや位置、本体の割に小さい
・「大」のれん、意外と柔らかく繊細、ガツンとした印象を与えたく大展示室入口正面に設置、フォント
・船徳利、船の上でも安定する形状
・白薩摩角酒器、豆腐のよう
・行灯皿は(油がこぼれにくいよう)玉縁
・出雲大津焼(昭和50年代に廃絶)の手焙り(いわゆる「釣鐘火鉢」)、抱いて使うとものすごく暖かい、ここでも身振り
・秋田、阿仁合(あにあい、北秋田市)の岩七輪、四方の面取り→模様
・鈴木繁男旧蔵厨子、柳が気に入っていた
・民間仏、少ない工数で人間の形を現す
・手押文湯釜に関連して自身をコンクリートで型取りする彫刻家の話(名前失念)
・樺細工、使うこむことによるツヤ
・火消しの上着(鹿革の半纏)、色がいい
・(山梨県の伝統工芸)印伝の仕事をしたことある、用いるのは鹿の革のみ、白い漆は難しい
・アルチザン:フランス、マエストロ:イタリア=職人、元々は低い地位の使用人→価値が上がった
・エルメス:革製品:自分達で作り上げたもの、ルイ・ヴィトン(LVMH:モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン):コングロマリット:お金で集めたもの
・職人制度がなくなったために民藝館が重要な位置を占めることになる
・北窯の大嶺さん(大嶺實清氏)、作ってるものがすごい、すごくいい、展示会で思わず「これは買えるの」と聞いてしまった
・民芸と工芸の境目を探してもしょうがないけど、作るものの目的によるのかも知れない
・柳がデザインしたベンチ(松本民芸家具、現在も販売)

雑感:「かたち」を主眼に選定された展示物、全くと云う訳ではないが絵付けされたものが排除されたことにより、自ずと時代を経た素材そのものの美しさ、手で触れたくなるような素直さを感じた。
前回の特別展「仏教美学 柳宗悦が見届けたもの」と同様に作者や地域、時代の垣根を越えた企画。このようなキュレーションの力を感じる展示こそ、図録やデジタルミュージアムなどのアーカイブが必要なのではないだろうか。

(東京民藝協会 井上大輔)
posted by 東京民藝協会 at 12:07| Comment(0) | 例会
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