2020年01月07日

スリップウェア作家 ボウエンさんに会うの巻 〜2019.11.18 例会より〜

 「スリップウェア」と聞いて連想するものは日本民藝館のあの品。体の横幅分もある長方形の形をした黄土色の大皿である。黒色の波目模様がゆらゆらと流れている。パイを焼くための皿。「魔女の宅急便」(スタジオジブリ、1989)で出てきたようなパイが出てくるのかしらと想像しているあの品。
 辞書で言葉の意味を調べてみる。

  スリップウェア(slipware)
  「装飾陶器の一種。化粧がけ陶器ともいう。陶器の素地に泥漿釉(スリップ)をかけ、いろいろな装飾文様を施した陶器。その最古の作例は古くローマ時代にまでさかのぼるが17世紀以来ドイツやイギリスにおいて盛んに作られた。また東欧や中央アジアの民芸陶器にも多い」 ブリタニカ国際百科事典(2011)

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 まだまだ知らぬ世界を知るために、ギャラリー・セントアイヴスの11月例会に勇んで出掛けて行った。お題は英国のスリップウェアの作家である「クライヴ・ボウエン氏の実演とお話」。イギリスの土は色にほとほと徹するようだ。黒・黄土色・黄・緑・赤があり、同じ色に別の色の存在は微塵も感じさせない。色に徹するからこそ色の対比が美しく出るのだろう。ちょうど会場では「柴田雅章 クライヴ・ボウエン 二人展」を行っており、日英の陶器の比較ができて興味深い。    
 例会で印象に残ったのはボウエンさんの実演。タイルに次々に絵付けをしていくのだが、その手捌きといったら!絵付けというと筆でさらさらと描くものと思っていたがそうでもない。何でもあり?の世界のようで櫛(コーム)、果てはお好み焼きのマヨネーズが入っていた3つ口?チューブも絵付けに使う。「さっ、さっ、さっ」という言葉が適当なようにカニ・魚・波目模様等を実に楽しげにそれに手早く描いてくれる。速さの秘訣は描き慣れているということもあるのだろう。加えて模様の一つ一つにボウエンさんのみならず、ボウエンさんの中にある作り手達の魂が混じり合っているからのようにも感じる。実に迷いがない。模様は産み出されるのを楽しみに待ち、簡素にのびのび産まれてきた。楽しげな様子は見る者にも伝播するようで、ボウエンさんの大きなあの手から一体次は何が産み出されるのかワクワクしながら見守った。

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 唐突に思う。これが「作る喜び」かと。日本民藝館の丹波焼の記念講演会で流れた柴田雅章さんの作陶の映像も重なる。今までやや厳しい面持ちで作陶していたのだが、窯から焼き上がった品々を一つ一つ手に取っては「良し」「良し」と言い、晴れ晴れとした笑顔で手に取るその姿。聴衆皆からも笑顔がこぼれた。
 普段の生活を省みるに、自分の手からモノが産まれ落ちる際、喜びを持って見守っていただろうか?と。毎日の掃除をする際に義務感だけで行っていなかったか?扱った掃除用具、きれいになった床・何よりもそのものの空間をきちんと見つめていただろうか?何の感慨もなく、こなしていたのだとしたら人間ではなく、機械のような心だったのだろう。

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 作られたモノには喜びが添えられている。出来上がったモノを見ている生活だけでは気付かなかった視点だ。単純でありながら厳然とした事実にしばし愕然としたのであった。
<了> 会員 鈴木 華子記ス

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2019年11月28日

第2回懇親会

遅ればせながらのご報告になりますが、10月29日に東京民藝協会の新会員&若手会員を対象にした第2回懇親会を行いました。
前回来られなかった方や、新たに入会された方を含む14名が参加されました。場所は前回同様、べにや民芸店。
新会員の方による自己紹介のあと、東京民藝協会会員の数少ない作り手の一人の宮入圭太さんに、無理言って作品(型染)をご用意いただいたので、みんなで拝見しました。
次回は、東京民藝協会の今後を話し合う予定です。
(奥村)


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2019年11月04日

東京民藝協会11月例会

○東京民藝協会2019年11月例会
クライヴ・ボウエン氏の実演とお話

日 時 2019年11月18日(月)19時〜21時ころ
場 所 ギャラリー・セントアイヴス 世田谷深沢3-5-13 tel:03-3705-3050
講 師 クライヴ・ボウエン氏(英国・デボンのスリップウェア作家)
参加費 500円(会員以外は1000円)
定 員 15人くらい(会員優先/申込先着順)
参加申込 下記のメールに11月17日(日)まで
tokyomingeikyokai@gmail.com

英国のスリップウェア作家、クライヴ・ボウエン氏による実演、ならびに英国のスリップウェア事情と同氏の経歴についてのお話です。
ギャラリー・セントアイヴスの井坂氏のご協力、ご尽力で実現しました。どうぞご参加下さい。

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2019年10月24日

10月例会 民藝館「柳宗悦と古丹波」展見学

 10月19日(土)見学会をやった。参加者は10人、お忙しい中杉山学藝部長がご案内下さった。いつも東京協会で会費を500円いただくのだが、館には1円も払っていない。これでいいのかと考えてしまうのだが、どうなんだろう。

 さて、以下に杉山さんのお話で覚えていることを。展示は、館の所蔵品に丹波古陶館のものを合わせて170点、名品がこれだけ揃うのは希である。
 大正期まで丹波焼きは、茶陶としては認められていたものの、雑器やことに壺などは美の対象として見られていなかった。柳たちが丹波を訪れたのも、目的は丹波布の調査であった。その折に、道具商中西幸一氏を介して茶陶以外の丹波焼きに出会った。以後二人は、商売を越えた付き合いを続け多くの名品を発掘した。その様子が、300通の手紙の遣り取りに伺える。丹波焼きの再発見は、この二人の存在なくしては考えられない。
「灰被ぎ」-----「はいかつぎ」と読むが、これはそもそも柳が自然釉を指して言った言葉である。それから、丹波は京阪に近いこともあってか日用の雑器を大量に生産した地で、一産地としては驚くほど多種多様な焼き物を生んでいる。そんなことから、関係筋で産地が特定できないものはとりあえず「丹波」と言っておくようなことも間々あったらしく、「丹波の七化け」と言われた。
 ------というようなことをお話いただいた。私には初耳のことが多かった。
 
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 お話に出てくる、柳、中西間で交わされた手紙の一部が、2階大広間の入り口付近に展示されている。柳が葉書に壺などの絵を描いて、〈あれをぜひ譲ってくれ〉、中西が品物と値段を示して、〈いかがでしょう〉、などという遣り取りを見ることができる。しかもそこで取沙汰された実物が展示されているから興味深い。
なお、『民藝』9月号が丹波の特集で、以上のことも含めて丹波の全容を知ることができる。
(藤田)

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2019年10月05日

9月例会「沖縄の陶器」神保郁夫氏

 9月27日(金)、銀座たくみで例会を行った。沖縄の陶器の蒐集家、研究家の神保郁夫さんにお話いただいた。----神保さんは「俺は研究家ではないよ」とおっしゃっているが。参加者は15人、たくみの皆様にお世話になった。
 神保さんの蒐集歴は30年くらいになるそうで、その一部の写真を拝見したが、素人目にはすごいものばかりで、私の感想は「金使ってる」であった。(もちろん金を使えばいいものが集まるというわけでもないのだが)今回はそのうちのほんの一部の、10個ばかりの「マカイ」を持ってきて下さった。

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 さて、お話の内容をかいつまんで紹介する。沖縄の陶業は17世紀に薩摩から朝鮮人陶工が派遣され、上焼き(施釉陶器)を焼くようになり発展した。当初、湧田ほかにも窯があったが、後、壺屋に統合されていよいよ盛んとなり、いまに至っている。壺屋は今観察してもわかるように丘陵地で、登り窯を築くのに都合がよかったし、港や河川、首里王府とも至近距離であったからである。明治以後、日本本土の磁器が大量に輸入されるようになって衰退、これに対抗して明治期には南蛮写しの茶道具を、そして大正期から昭和前期にはいわゆる「古典焼き」を製作して命脈をつないだ。古典焼きについては周知のように柳らは否定的で、その影響もあってか近年まで忘れられた存在であった。
 しかし、現在の沖縄陶器の技法の特色である厚い胎土、比較的深い線彫りや掻き落としなどは、実はこの古典焼きの影響ではないか。つまり、現在の沖縄陶器は、柳や河井、浜田の指導のほかに、この古典焼きの影響を受けて成立したのではないか、と考えている。

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 戦後、壺屋は焼け残って、沖縄復興の拠点となった。金城次郎もひところは土管や碍子を焼いたという。壺屋はやがて那覇の都市化にともなって、----特に「黄金の100マイル」と称される「国際通り」に隣接していたことから、昭和40年頃から公害の発生源と指弾されて、登り窯を焼けないようになった。そこで金城次郎などが他所、読谷村に移転することになる。これが復帰の年、昭和47年のことである。読谷にはその後、大嶺実清、山田真萬、松田兄弟などが次々に築窯、大産地となった。
 民藝の方々はとかく読谷方面に眼を向けがちだが、壺屋に残った小橋川家(仁王窯)や新垣家の功績も忘れられてはならない。両家は、今現在沖縄の窯業を支える多くの人材を輩出している。
 沖縄の陶器は、島内の需要に加えて全国的に流通し、かつ観光客の購入も多いので日本の窯場のなかでは珍しく生産量が増えていて、新規参入の陶芸作家も増加している。

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-----とこんな内容だった。来月10月25日(金)にお話の続きがある。
(藤田)



posted by 東京民藝協会 at 13:26| Comment(0) | 例会

次回10月の例会

○東京民藝協会2019年10月例会
日本民藝館「柳宗悦と古丹波」展見学

日 時 2019年10月19日(土) 14時〜15時ころ
場 所 日本民藝館 入口あたりに集合
解 説 杉山亨司氏(日本民藝館)
参加費 500円 (会員以外は1000円)*入館料別途
定 員 20人位(会員優先/先着順)
参加申込 下記のメールに10月18日(金)まで
tokyomingeikyokai@gmail.com

日本民藝館で現在開催中の「柳宗悦と古丹波」展(〜11月24日まで)の見学会を行います。
展示担当の杉山氏に、企画趣旨や展示作品などについて解説していただきます。
-----なお、「民藝」誌の9月号がこの展示に関連した特集号(「古丹波の美」)です。

posted by 東京民藝協会 at 13:02| Comment(0) | 例会

2019年08月27日

9、10月の例会

○東京民藝協会2019年9月、10月例会
神保郁夫氏 沖縄の陶器

@日 時 2019年9月27日(金)19時〜21時ころ
場 所 銀座たくみ 中央区銀座8-4-2 03-3571-2017
講 師 神保郁夫氏
参加費 500円(会員以外は1000円)
定 員 25人くらい(会員優先、申込先着順)
参加申込 下記のメールに9月26日(木)まで
tokyomingeikyokai@gmail.com

A日 時 2019年10月25日(金)19時〜21時ころ
場 所 ておりや 千代田区神田小川町2-8 扇ビル4階
講 師 神保郁夫氏
参加費 500円(会員以外は1000円)
定 員 25人くらい(会員優先、申込先着順)
参加申込 下記のメールに10月24日(木)まで
tokyomingeikyokai@gmail.com

沖縄の陶器に詳しい神保氏にお話を伺う機会ができました。9月27日は琉球王朝が終わるまで、10月25日はそれ以後についてのお話です。
貴重な機会です。どうぞご参加下さい。

posted by 東京民藝協会 at 15:20| Comment(0) | 例会

2019年08月12日

例会:日本民藝館特別展「食の器」見学会

一昨日の8月10日(土)に、東京民藝協会の例会として日本民藝館で開催中の特別展「食の器」の見学会を行いました。
参加人数は、会員が17人、友の会が2人、会員以外が3人の計22人。恒例となっている日本民藝館特別展の見学会ですが、毎度忙しいなか民藝館の学芸員の方に協力いただくお陰で、うれしいことに参加される方も徐々に増えております。
今回は、展示を担当された白土さんに、今回の展示構成、各部屋ごとのテーマなどをお話していただきました。大広間には柳家で日常的に使用された器が展示されており、柳家によって使われ育てられた河井寛次郎、濱田庄司の器や各地の民窯の器を観ることができます。茶器が多いのも柳家らしく印象的でした。
会期は9月1日まで。是非足をお運びください。
(奥村)


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posted by 東京民藝協会 at 20:45| Comment(0) | 例会

2019年07月23日

次回2019年8月の例会

○東京民藝協会2019年8月例会
日本民藝館「食の器」展見学

日 時 2019年8月10日(土) 15時〜16時ころ
場 所 日本民藝館 入口あたりに集合
解 説 白土慎太郎氏(日本民藝館)
参加費 500円 (会員以外は1000円)
定 員 20人位(会員優先/先着順)
参加申込 下記のメールに8月9日(金)まで
tokyomingeikyokai@gmail.com

日本民藝館で現在開催中の「食と器」展(9月1日まで)の見学会を行います。
展示担当の白土さんに、企画趣旨や展示作品などを解説していただきます。
なお、『民藝』誌の6月号、7月号がこの展示に関連した特集号です。
posted by 東京民藝協会 at 21:16| Comment(0) | 例会

2019年06月21日

◎東京民藝協会+日本民藝館友の会 日帰りバス旅行のお知らせ

日帰りバス旅行(上田市近郊 修那羅峠の石神仏群、無言館、大法寺、前山寺三重塔、青木村郷土美術館)

下記の通り、バス旅行を計画しましたのでご参加ください。
見学先はいずれも車でないと行きにくいところなので、いいのではないかと思います。

日 時  2019年7月21日(日) 
集 合  午前10時 JR上田駅(温泉口の階段を下りて広場右手のWC裏側)
会 費  会員:8,000円  同伴者9,000円(旅行保険代込)
参加申込 tmk@tokyo-mingei.sakura.ne.jp
定 員  25名 申込先着順
*定員を超えた場合は、個別にお断りの連絡をします。
申込締切 7月13日(土)
バス会社 上田バス TEL:0268-34-6602
お断り 何かの事情で見学先他が変更になる場合があります。
前日および当日の参加取り消しについては返金できません。あらかじめご承知下さい。
問い合わせ tmk@tokyo-mingei.sakura.ne.jp

◎時間割 7月21日(日)
(新幹線時刻 上野 → 上田 特急券とも5,940円)
あさま603号 7:30→上田9:01 はくたか553号 7:58 →上田9:17


○上田駅 温泉口バス停留所集合は9:30 (出発は9:45)
温泉口の階段を下りて広場右手のWC裏側。(お城口ではない方の出口)
                   
○郷土美術館(青木村当郷 TEL:0268-49-3838)と大法寺三重塔(同 TEL:0268-49-2256)
館長の解説あり(予定) 10:15〜11:15

○昼食 道の駅あおき
(青木村村松 TEL:0268-49-0333)
席を確保してある。注文は各自、自販機で。そばが有名、農産物直売所あり
11:30〜12:30(12:00過ぎると混雑する )

○修那羅峠(筑北村坂井真田)バスを降りてから、5分程度歩く
13:00〜13:45

○前山寺三重塔(上田市前山 TEL:0268-38-2855)お茶と名物のくるみおはぎ。
14:15 〜14:45

○無言館(上田市古安曽 TEL:0268-37-1650)
14:45〜15:45

上田駅着 解散 16:15ころ
                                         
(新幹線時刻 上田 → 上野 特急券とも5,940円)
あさま676号 16:57→18:28 / あさま628号 17:21→18:46/
はくたか570号 17:46→19:16/ 最終・はくたか578号 21:58→23:18


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posted by 東京民藝協会 at 19:12| Comment(0) | 例会