2025年04月01日

3月例会 マーティ・グロス氏のお話を聞く

 3月21日(金)、駒場住区センターで3月例会を行った。参加者は15人ほど、これにズームでの参加がやはり15人ぐらいだった。講師は民藝運動フィルムアーカイブを主宰している映画監督マーティ・グロス氏にお願いした。
 マーティ氏についてはネット上のウィキペディアに人物紹介がされていて、日本で氏の仕事をお手伝いなさっている佐藤さんによると、その内容に誤りはないとのことである。氏は今から50年前、1974年に来日、常滑で陶工の修行を行なった。1975年に「陶器を創る人たち」という記録映画を作り、さらにその数年後、文楽に取材して「文楽 冥途の飛脚」を作って、いずれも好評を博している。

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 会場で「陶器を創る人たち」を上映していただいた。これは小石原の太田熊雄、小鹿田の坂本茂木を取材撮影したもので、いまとなっては貴重な映像となっている。マーティ氏によると、あとになって坂本茂木の子息、工さんに聞くと、学校から帰ったらいきなりろくろの前に座らされて、それが最初のろくろ体験であった、という。
 50年前にこのような記録映画を作った監督が他にいたかどうか、私の乏しい知識から言うと岩波映画製作所がただ一つ思い浮かのだが、どうなんだろう。

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 現在は、「民藝フィルムアーカイブ」を主宰して、しばしば来日、取材などを精力的に行っている。このいきさつは、ウキペディアによると〈1975年、『陶器を創る人たち』の制作後、バーナード・リーチの著作を読んで、リーチが戦前の日本の工芸を記録した映像を持っていることを知り、英国コーンウォール在の本人のもとを訪れた。直接対面した晩年のリーチは1934年から翌年にかけて撮影されたフィルムをグロスに預け、彼はこれを修復したが、このことがきっかけとなって民藝運動に関する古い映像・音声資料を収集及び修復しながら民藝運動に関するアーカイブを構築している〉。
東京民藝協会との関係で言えば、前々会長の志賀直邦氏の長いインタビュー映像があり、氏によると、この映像は海外の人々に民芸運動のことを知ってもらうためのよい案内になっている、という。
 フィルムアーカイブのリストを拝見したが、リーチ、濱田、沖縄その他民藝関係の多彩な過去の映像があり、それらに現在のインタビューを補足してより正確な記録を目指していることに感心させられる。修復と編集作業の映像も見せていただいたが、素人が簡単に考えていたこととはまったく違って、大変な手間と時間がかかっていることを知った。こういう、大変な仕事を海外の方が独力でして下さっていることにあらためて感謝しなくてはないらない。     (藤田)
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2025年03月11日

3月例会その2 オンライン例会のお知らせ

3月29日に下記のオンライン例会を予定しております。

3月オンライン例会
「トビタテ!留学JAPAN」9期生報告会
英国セント・アイヴスのリーチ工房を訪ねて
愛媛民藝館×東京民藝協会 主催
日時:2025年3月29日(土)13時30分〜14時30分 ※約1時間
発表者:枝吉 燦さん(愛媛県立松山南高等学校砥部分校2年)

昨年夏、愛媛県立松山南高等学校砥部分校2年の枝吉燦(えだよしさん)さんが、文部科学省の海外派遣事業にて、英国セントアイヴスのリーチ工房に3週間短期留学されました。
柳宗悦らとともに民藝運動を推進したバーナード・リーチ。
そのリーチ工房での活動の様子や感じたことをお話頂きます。

(枝吉 燦さんより)
イギリスの陶芸家、バーナード・リーチが砥部を訪れ、砥部焼の手仕事の良さを高く評価し「その土地にあるものを使いなさい」と言ったことが、現在の砥部焼の形につながったことを高校1年の時の遠足で知りました。
その後、バーナード・リーチが濱田庄司とともにイギリスにリーチ工房をひらき、民藝・民陶の精神が現在もイギリスに根付いていることを知り、実際に訪れてみたいと思うようになりました。2024年の夏、「トビタテ!留学JAPAN」のプログラムで現地を訪れ、私が体験したことを皆さんにシェアしたいと思います。


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2025年03月08日

2025年3月例会のお知らせ

東京民藝協会主催の例会のお知らせです。
3月21日(金)に駒場住区センターにて、下記の例会を開催いたします。
是非ご参加くださいますよう、お願い申し上げます。
なお、当日はズームによるオンライン中継も行います。


2025年3月例会
「マーティ・グロス氏のお話」
日時:3月21日(金)19:00〜
場所:駒場住区センター
(目黒区駒場 1-22-4  03-3469-2613 駒場東大前駅より徒歩8分)
講師:マーティ・グロス氏(映画監督)
参加費:500円
定員:24人(要予約、会員優先/先着順)
参加申し込み:20日(木)までに協会アドレス(tokyomingeikyokai1954@gmail.com)


民藝運動フィルムアーカイブを主宰している映画監督 マーティ・グロス氏に、今の活動のほか、過去の仕事(文楽、小石原の記録映画製作)や海外への日本映画紹介の仕事などについて伺います。

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2025年01月30日

1月例会と新年会

 1月26日(土)例会、日本民藝館特別展の見学と新年会を行った。例会の参加者は36名、新年会の参加者34名であった
 日本民藝館特別展は「仏教美学 柳宗悦が見届けたもの」という表題で、展示の担当者、月森俊文さんが説明をして下さった。古今東西いろんなものが混ざって展示されている。数も相当に多かった。そして、それら展示物に名前他一切の説明がつかないという珍しい展示で、こういう展示はおそらく前例がないのではないか。唯一の前例は2019年の民藝館特別展「柳宗悦の直観」だけかもしれない。これも月森さんの担当であったから、彼の一貫した考え方を伺うことができるだろう。

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 われわれはとにかく説明、物語を欲している。説明がないとものを見ることができない。説明を聞いてものを見たような気になる。小林秀雄がむかし「ぼくらが野原を歩いていて一輪の美しい花の咲いているのを見たとする。見ると、それはすみれの花だとわかる。何だ、すみれの花か、と思った瞬間に、ぼくらはもう花の形も色も見るのを止めるでしょう」と言っている。月森さんが、「ボーと見ていても見ることはできません」とおっしゃったが、その通りであろう。が、ボーとでない見方がわからないのが凡人であるから、凡人はやはり救われない、かな。
 私はそもそも「無有好醜の願」がわからないし、ものをボーと見ているだけなので、この展示についても、説明のないことについてもとやかく言えないのだが、月森さんの狙いと熱意は恐縮ながら感じることができたような気がする。なお、月森さんが担当する展示はこれが最後だとのことである。月森さんには当会の例会に何度となく展示説明をしていただいた。感謝申し上げます。

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 そのあと、駒場駅前の「ペスカビアンカ」というレストランに移動して新年会を行った。会費は3000円、今時としては安いほうだろう。会に先立って、野ア会長から目下進行中の白崎撮影写真のデジタル化の寄付についての報告があった。それによるとあと少しで目標額の500万円に達するという。依頼中のデジタル化作業も順調にすすんでいるとのことで、実に喜ばしい。その後井坂さんの名司会によって和やかに進行、全員の自己紹介もやることができた。司会者は食べたり飲んだりできる時間が少ないので大変である。ありがとうございました。
(藤田)

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2024年10月19日

11月例会のお知らせ

東京民藝協会 2024年11月オンライン例会
「ブータンの社会と工芸」
日時 2024年11月1日(金)19:00〜      
講師 久保淳子 ヤクランド(ブータンゆっくり勉強会)主宰

ブータン王国に長い間通ってその実情を見てこられた久保さんに、その社会と工芸の一端を映像を交えてご紹介いただきます。数年前に公開された『ブータン山の教室』という映画を見た方もいるかもしれませんが、まだまだ知られていないヒマラヤの小国、果たして「世界一幸福な国」なのか、そこにどんな染織の仕事があるか?
なお、事前に久保さんとブータンのことを知りたい方は、「ヤクランド」のHPを見て下さい。
https://yakland.jp/2024bhutan1

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2024年08月02日

次回の例会

東京民藝協会 2024年8月例会
「民藝と濱田庄司」
日時:8月20日(火)19:00〜
場所:駒場住区センター
(目黒区駒場 1-22-4  03-3469-2613 駒場東大前駅より徒歩8分)
講師:佐々風太氏(東京工業大学研究員、雑誌『民藝』編集委員)
参加費:500円
定員:24人(要予約、会員優先/先着順)
参加申し込み:18日(日)までに協会アドレスに(tokyomingeikyokai1954@gmail.com)に申し込みください。
2024年で生誕130年を迎える陶芸家、濱田庄司(1894-1978)。近代工芸の巨匠として、柳宗悦(1889-1961)と並ぶ民藝運動の牽引者として、よく知られています。今回の講座では、濱田の蒐集や作陶について辿り、彼が今日に投げかけるものについて皆さんと考え
てみたいと思います。(佐々)


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2024年07月11日

古民藝もりたさんの話を聞いて

 4月5日の例会は「古民藝もりた」さんの店舗から中継でのお話し会があり、皆さんと一緒にリモートで聞かせて頂きました。
 まずお店を始めるまでの経緯が面白く聞き入ってしまいました。12歳で終戦を迎えた森田さん、昭和8年生まれで91歳になられました。三重県津のご出身で家業はタオルの製造をされていました。肺結核を患ったこともあったが上京し予備校に通っていた頃、ある米軍退役軍人の大佐と出会ったことが大きな転機に。当時アメリカのデパートなどのバイヤーが主に箪笥や伊万里などを仕入に度々来日しており、日本での品集めをし仲介していたのがその方で、手伝いをすることになったそうです。終戦より数年経ってもなお混沌とした様子だったのではないかと想像しますが、その中で惹かれるところに飛び込んでいくところも自然ななりゆきのように聞こえます。

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 7~8年経った頃その大佐が亡くなり、どうしたものかと思ったけれど自身の道を決め自身の店を持つに至ります。当時”古民藝”という看板を掲げていた店がすでに何軒かあったが、”古美術”というよりもう少し敷居が低く入りやすいようにと考えたとのことです。古民藝や古道具、国内でも当時からそうしたものに興味を持つ人たちが少なからずいたのですね。都市と地方の違いもある中で、品自体についてもさることながら世に出るまでの道のりも大事な点に思えます。
 店内の品物もほんの一部ですが、紹介して下さいました。庄内地方の裂織り、”ぼろ”と今は言われることの多い端切れを合わせたもの、着物の下に着る汗はじき(汗で身体が冷えないようにする為)、芭蕉布、真田帯、和紙を使った紙子の他、中国の少数民族の衣装、それからアヘンを量る為の鉄の細工のある道具など。大変貴重な品も多いのではないかと思います。どこでどのように使われていたのか思いをめぐらせながら、森田さんや奥様の説明から一つ一つの品を紐解く面白みを感じました。

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 お店は六本木に3年、その後青山の骨董通りで53年。この1月から経堂に移られました。激動の時代とひと言では語れませんが、終戦後から現在に至る人々の暮らしはものすごいスピードで変わっていったことでしょう。この年月に多くの品物を見つめ紹介し続け、手にした方々に潤いを与え続けていることと思います。美しい布はそれだけで魅力あるもの、どこか安らぎを覚えます。
 かなり以前に青山のお店に伺ったことがあり、木製の長いシャベルのようなものを見せて頂きました。東南アジアのものだったと思うのですが、奥様からとても丁寧に説明して頂いた覚えがあります。日本や諸外国の染織りのものを中心に、大変幅広い品を扱っていらっしゃいます。新店舗は以前と同様の開放的な明るい雰囲気です。改めて訪ねてみたいです。
(栗山花子)

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2024年05月05日

5月の例会です

東京民藝協会 2024年5月例会@
「30年前の景徳鎮と古染付」
日時:5月10日(金)19:00〜
場所:べにや民芸店(目黒区駒場1-33-8-2F 駒場東大前駅より徒歩3分)
講師:石川雅一氏(益子・南窓窯)
ビデオ撮影・提供:佐藤阡朗氏(当協会前会長)
参加費:500円
定員:20人くらい(要予約、会員優先/先着順)
参加申し込み:8日(水)までにこちらのアドレス(tokyomingeikyokai1954@gmail.com) にお申し込みください。

日本民藝館の特別展「古染付と中国工芸」にちなんで、当協会前会長の佐藤阡朗氏が撮影した30年前の景徳鎮のビデオを上映します。たぶん大方は失われてしまった興味深い映像を見ることができるでしょう。その旅に同行した石川雅一氏の解説がつきます。
また、石川氏からは、古染付について実物を見せていただきながらお話をうかがいます。
*なお、ビデオ画像は鮮明でない(映写されるビデオを写すので)ですが、オンラインでの中継も行います。1週間くらい前にアドレスをお知らせします。


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2024年04月01日

2024年4月のオンライン例会

次回の例会のお知らせです。
よろしくお願い申し上げます。


東京民藝協会 2024年4月オンライン例会
「古民藝もりた」さんのお話
日時 2024年4月5日(金)19:00〜
講師 森田直氏(古民藝もりた)

民藝の好きな人たちによく知られた、かの「古民藝もりた」の森田さんは、実は東京民藝協会の古くからの会員です。かなり前になりますが、例会でも布のお話を伺いました。
長い間青山の骨董通りでお店をなさっていましたが、今年から世田谷の経堂に移転しました。これを機に新店舗で展示している品物の紹介などしていただきます。どうぞご参加下さい。
*なお、「古民藝もりた」の新店舗の住所は世田谷区経堂5-15-9  03-5799-7788です。 


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2024年03月21日

2024年3月のオンライン例会

下記のオンライン例会を行います。
是非ご参加くださいますよう、お願い申し上げます(会員限定)。


東京民藝協会主催2024年3月オンライン例会
「瀬戸本業窯展 中継」
日時 2024年3月23日(土)19:30〜
講師 水野雄介氏(瀬戸本業窯8代後継)

瀬戸本業窯は瀬戸市洞地区にあり、江戸時代後期に創業、それ以来日常使いの器を作り続ける窯元です。現在は8代後継の水野雄介氏が、7代半次郎氏とともに活動しています。2021年にクラウドファンディングを行って翌22年に「瀬戸民藝館」を開館しました。21年の6月には、現地からオンライン例会に登場していただきました。

*今回は銀座たくみでの展示会場「瀬戸本業窯展」で作品を見ながらお話しいただきます。
なお、たくみの展示会「瀬戸本業窯展」は、23日(土)から30日(土)の1週間です。

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posted by 東京民藝協会 at 12:19| Comment(0) | 例会