2019年04月29日

吉田さんギャラリートークレポート

みなさん、初めまして。東京民藝協会会員の金子安也女です。同協会の藤田さんからの“ご厚意”で、先日「べにや民芸店」さんで行われたギャラリートークの様子をレポートさせていただきます!

現在、「べにや民芸店」さんでは吉田義和さんの「今戸土人形」展を開催中です(会期:2019年4月27日(土)〜5月6日(月・祝))。私が会場に到着したのは 19時直前だったのですが、すでに幾つかの作品は売り切れになっており大盛況です。展示初日のギャラリートークには吉田義和さんご本人と広島県民藝協会会員の千葉孝嗣さんが登壇され、20名を超えるお客様が参加されました。

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初めて見る吉田義和さんの第一印象は“強面”(スミマセン)、しかし一旦話し始めると吉田さんの柔らかい口調と飾らない人柄に惹きつけられます。千葉さんのファシリテートのもと、吉田さんと今戸人形との出会い、製作を始めたキッカケ、作り方などに話題が広がります。

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吉田さんは、最後の今戸人形師といわれた尾張屋・金澤春吉翁(明治元年〜昭和19年)の今戸人形に魅せられ「彼が作った昔ながらの今戸人形を(後世に)残したい」と語ります。吉田さんが生まれた時には既に尾張屋春吉翁さんは亡くなられていたので、実際に今戸人形を作る作業を見ることはできず、残された人形や文献を参考に製作工程を想像しながら製作しています。今戸人形を作り始めて 30年近く経ちますが、今でも製作工程には試行錯誤する点もあるそうです。

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吉田さんのこだわりは昔ながらの今戸人形の「姿」だけではありません。原料や素材にもこだわります。例えば「土」。今戸人形は江戸の郷土玩具ですから、土も江戸(東京)ものと決めています。どうやって採取しているのかと思えば、なんと工事現場に行ってブルドーザーで掘られた土を譲ってもらうのだとか! もらった土はそのままだと使えないので、不純物を何度も取り除く作業をして粘土に仕上げます。絵付のイメージはありますが、土作りまでやっているとは思いもしませんでした。職人さんって意外と肉体労働なのですね。。そのほか「絵の具」にもこだわり、昔からある胡粉・墨などに膠(にかわ)を混ぜたものを使います。アクリルの絵の具を使った方が扱いは楽なのですが「経年した時に昔に作られたものと同じように古びて欲しい」という想いから、昔ながらの絵の具を使います。一方、昔作られていなかった形や出土しないものは、オリジナルで創作します。オリジナルのものを今戸人形と呼んでいいものか躊躇いもあったそうですが、お客様には好評で一安心したそうです。伝統と重んじ守るところは守りつつ、新たな魅力を開拓しているのですね。

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ギャラリートークを通して、吉田さんの今戸人形に対する愛情や真っ直ぐな想いを感じることができました。途中「べにや民芸店」の奥村さんが「吉田さんの作品の魅力は作為的でない」というコメントを聞き、ポン!と膝を叩きました(心の中で)。吉田さんの今戸人形はもちろん、郷土玩具の何とも言えない愛くるしさに惹きつけられる理由はまさに「作為的でない」部分にあるのだと思います。人為的な狙い・あざとさ・媚を売る感じなど、出来れば感じたくないものが一切無い。だから見ていて心地良い、側に置いてもホッとするのではないでしょうか。

生きる上では必ずしも必要ではない人形。昔は神頼みや縁起担ぎで作ったそうですが、物質的に豊かになった現代における今戸人形の価値は何なのでしょう。単なるインテリアでは無いことは確かだけど、うまく表現する言葉が見つかりません。でも本能的に「ステキ!」と思えるものには言葉は不要かもしませんね。
GW にお時間がある方は是非、吉田さんの今戸人形展にお出かけください!ほっこりしますよ。(完)
posted by 東京民藝協会 at 19:02| Comment(2) | レポート

2019年04月07日

次回の展示会

○東京民藝協会2019年4月例会II
宮島の郷土玩具「鹿猿」の話

日 時 2019年4月28日(日) 19時30分〜21時ころ
場 所 べにや民芸店 目黒区駒場1-33-8 コードンブリューII 2階
講 師 千葉孝嗣氏(広島県民藝協会会員)
参加費 500円 (会員以外は1000円)
定 員 25人位(会員優先/先着順)
参加申込 4月27日(土)まで
tokyomingeikyokai@gmail.com
または電話03-5875-3261(べにや民芸店)

郷土玩具に造詣が深い広島県民藝協会員の千葉孝嗣さんに、地元・宮島の伝統的な郷土玩具「鹿猿」についてお話いただきます。歴史ある「鹿猿」を千葉さんは長年調査し、収集、さらに復刻もされました。先日は宮島で展示会、講演会もなさったとのことです。

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明治期の鹿猿(西澤笛畝著『玩具叢書 日本玩具図篇』より)

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戦後の鹿猿(岩村菊治作)

*前日27日に、展示中の今戸人形の吉田義和さんとの対談もあります(同じ時間)。こちらはべにやさんの主催、参加ご希望の方は直接申し込んで下さい。
posted by 東京民藝協会 at 19:19| Comment(0) | 例会

2019年03月25日

尾久彰三氏コレクションの展示会と解説

尾久氏のコレクション展示会が行われています。

2/19(水)〜4/28(日)
相模原市「小原の郷」
TEL: 042-684-5858 
相模原市緑区小原711-2
(JR相模湖駅から徒歩20分/バス 駅前バス停2番から三ツ木行き、小原下車徒歩2分)
開館時間9:30〜4:30 月曜日休み  
 
ご本人による解説会
○4月18日(木) 14:30〜
○4月28日(日) 14:30〜
posted by 東京民藝協会 at 20:01| Comment(0) | お知らせ

2019年03月22日

1月例会 民藝館特別展「柳宗悦の直観」見学

 間が開いてしまったが、1月26日㈯に民藝館見学の例会をやった。民藝館の特別展示は、「柳宗悦の直観」というもので、文字通りに受け取れば、「勝手に見てくれ」ということである。これで館に解説をお願いするのはどうかとも思ったが、担当の月森さんから「説明を一切しない展覧会です。通常のご説明はできないかもしれません。ご覧いただいた後に少しお話をさせていただきます」というご返事をいただいた。人が集まるかどうか心配だったが、10人以上の方が来て下さったし、会員以外のひとも加わって下さった。

 雑誌「民藝」1月号はこの特別展の特集である。5ページの巻頭で、「直観」を理解することの難しさが指摘されている。これによると直観は「直感という身体感覚にのみ基づいた私的な判断と混同されやすい」加えて「出自の異なる仏典のナントカという言葉と西洋哲学のナントカという言葉の訳語として区別なく使われている」(ナントカはアルファベットでないのでここに書けない)のだそうだ。
 なんのことかわからないのだが、さらに佐藤光氏が「直観とは何だろうか」(p11〜)で、《ブレイクが「直観」という単語を全くと言っていいほど使わなかったにもかかわらず、柳は『ヰイリアム・ブレーク』で「直観」という言葉を多用した》このころの柳は《「直観」をまだ概念でとらえていた、とは言えないだろうか》と書かれている。そうだとすると、当初柳はブレイクに依拠しながら一部曲解しつつ直観を説いた、と読める。で、いよいよわからない。------オレの脳で柳の思考過程を辿り理解しようなんてことは無理であるから当然だが。

 ところで「直観で見ろ」ということを言った人は柳ばかりではない。こんな文章があった。《見ることは喋ることではない。言葉は眼の邪魔になるものです。例えば、ぼくらが野原を歩いていて一輪の美しい花の咲いているのを見たとする。見ると、それはすみれの花だとわかる。何だ、すみれの花か、と思った瞬間に、ぼくらはもう花の形も色も見るのを止めるでしょう。ぼくらは心の中でお喋りをしたのです。すみれの花という言葉が、ぼくらの心のうちに這入って来れば、ぼくらは、もう眼を閉じるのです。すみれの花だと解るという事は、花の姿や色の美しい感じを言葉で置き換えてしまうことです。言葉の邪魔の這入らぬ花の感じを、そのまま、持ち続け、花を黙ったまま見続けていれば、花は僕らに、かって見たこともなかった様な美しさを、それこそ限りなく明かすでしょう。》この文章、小林秀雄の『美を求める心』の一節だが、いまでも読むたびに感心する。そして、この展示のことを知ったとき、まず思ったのがこれであった。-----柳の何らかの文を思い浮かべるべきだろうが、あまり読んでいないのでわからない。

 さて展示はたとえてみると和洋中飛び切りの料理の食べ放題といった趣で、全室見終わったら満腹という感じであった。我々は、いや私はこういう展示をいわば無秩序としてしか感受できないのである。「展示はさぞ難しかったでしょうね」と月森さんにお聞きしたら、そうでもなかったというご返事。月森さんはご自身のなかに美の秩序があってそれに従った、だから難しくなかったのだろうか。
 ともあれこのように説明のない展示は、素人からすると不安なものであり、特に気にかかるものについては何か知りたくもなる。これについて月森さんは、知ろうとすることを否定するものではない、と何度もおっしゃっていた。ただし、今回はただ見て下さい、と。であるから我々はこの試みを受け入れて、黙って見るべきだろう。先の文章で小林は《それほど、黙って物を見るという事は難しいことです》とも書いている。
(藤田)

posted by 東京民藝協会 at 15:26| Comment(0) | 例会