日本民藝館特別展は「仏教美学 柳宗悦が見届けたもの」という表題で、展示の担当者、月森俊文さんが説明をして下さった。古今東西いろんなものが混ざって展示されている。数も相当に多かった。そして、それら展示物に名前他一切の説明がつかないという珍しい展示で、こういう展示はおそらく前例がないのではないか。唯一の前例は2019年の民藝館特別展「柳宗悦の直観」だけかもしれない。これも月森さんの担当であったから、彼の一貫した考え方を伺うことができるだろう。
われわれはとにかく説明、物語を欲している。説明がないとものを見ることができない。説明を聞いてものを見たような気になる。小林秀雄がむかし「ぼくらが野原を歩いていて一輪の美しい花の咲いているのを見たとする。見ると、それはすみれの花だとわかる。何だ、すみれの花か、と思った瞬間に、ぼくらはもう花の形も色も見るのを止めるでしょう」と言っている。月森さんが、「ボーと見ていても見ることはできません」とおっしゃったが、その通りであろう。が、ボーとでない見方がわからないのが凡人であるから、凡人はやはり救われない、かな。
私はそもそも「無有好醜の願」がわからないし、ものをボーと見ているだけなので、この展示についても、説明のないことについてもとやかく言えないのだが、月森さんの狙いと熱意は恐縮ながら感じることができたような気がする。なお、月森さんが担当する展示はこれが最後だとのことである。月森さんには当会の例会に何度となく展示説明をしていただいた。感謝申し上げます。
そのあと、駒場駅前の「ペスカビアンカ」というレストランに移動して新年会を行った。会費は3000円、今時としては安いほうだろう。会に先立って、野ア会長から目下進行中の白崎撮影写真のデジタル化の寄付についての報告があった。それによるとあと少しで目標額の500万円に達するという。依頼中のデジタル化作業も順調にすすんでいるとのことで、実に喜ばしい。その後井坂さんの名司会によって和やかに進行、全員の自己紹介もやることができた。司会者は食べたり飲んだりできる時間が少ないので大変である。ありがとうございました。
(藤田)
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